コラム Vol.2:「マインドヘルス計測システム」の実績データから何が分かるのか?

リスク計測テクノロジーズ株式会社(以下「当社」という)は、本年3月に、声だけで簡単に心の状態を可視化する「マインドヘルス計測システム」をリリースしました。本コラムでは、新型コロナウイルス感染症が広がる中、日常生活や勤務時間中等の様々な場面を通じて得られた実績データが、実際にどのような振る舞いを見せたのかを示しつつ、その変動要因について考察します。

声だけで心の状態を捉えることは出来たのか?

Chart 1 マインドアクティビティ

心の状態を示すマインドアクティビティについて、2020年4月1日から8月18日までの計測結果を示しています。数値が大きいほど心の状態が良好であることを意味します。 縦軸にマインドアクティビティ(単位:ポイント)、横軸に時間を配置しています。数値は、日次平均値の後方3日間移動平均値になります。数値の算出に使用したデータは、100名以上のユーザーから成る4000件以上の観測値になります(*1)。

*1 毎日計測するユーザーと出勤日だけ計測するユーザーといったように、様々なユーザーが混在し、より実践的なデータになっています。

Chart 2 新型コロナウイルス感染症の日次新規陽性者数(全国)

新型コロナウイルス感染症の日次の新規陽性者数を示しています。データソースは、「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(厚生労働省)」であり、弊社が集計を行っています(*2)

*2 【参考】COVID-19 in Japan (Version 2.0)

Chart 1 Mind Activity
Chart 2 新型コロナウイルス感染症の日次新規陽性者数(全国)
Period 1

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、特措法第32条第1項の規定に基づき、7都府県に緊急事態宣言が発出されました。数値の低下は、当該宣言に基づく不安感を反映した結果と考えられます。

Period 2

日々の新規陽性者数が減少し、安心感が広がったため、数値が上昇したと考えられます。他方、緊急事態宣言の解除前に数値が低下しています。これは、解除することに対する不安感が入り交じったのではないかと考えられます。

Period 3

都道府県を跨ぐ移動制限の緩和に対する期待感を受けて、数値が上昇しています。しかし、緩和することに対する不安感が入り交じったのか、数値は一時的に低下しました。その後、暫くは安定推移となりました。

Period 4

7月に入り、徐々に新規陽性者数が増加に転じました。これを受けて、先行きの楽観と悲観が入り乱れ、数値は上下変動を繰り返す動きを見せました。その後、全国の新規陽性者数の数が1000人超と増加するに連れ、数値が低下しました。ただし、8月冒頭で新規陽性者数の数が天井を打つと、数値は上昇に転じました。

新型コロナウイルス感染症以外との関係は?

今回の数値算出に際し、日次や月次で参照できる経済指標等との相関分析を行いました。その結果、ある一定期間内においては、正の相関(又は負の相関)関係が確認されるものの、長期間に亘り当該関係が継続して確認されることはありませんでした。

こうした結果となった理由は、様々なバックグラウンドを持ったユーザーが、様々な環境下で計測することにあると考えられます。つまり、各ユーザーの計測条件にバラツキがあるため、皆が注目するビッグイベント(皆に共通なイベント)がない限り、各ユーザーの計測値が同じ方向に変動しないことを指摘できます。

マインドアクティビティの変動要因は何か?

マインドアクティビティが変動する個別事由には踏み込まず、本コラムでは変動要因の構造に着目します。上記までの議論を踏まえると、仮定として、マインドアクティビティ(心の状態)の変動要因は共通要因と個別要因の2つに分離して考えることが出来ます。これを定式化すると以下となります。式中のMAは、Mind Activityを意味します。

Formula 1

変数Xは個人に特有なイベント(個別イベント)、変数Yは全ての人に共通なイベント(共通イベント)を表します。αは個別要因の感応度、βは共通要因の感応度を意味します。

  • マインドアクティビティが、皆に共通なイベントで変動する場合には、変数Yに大きなショックが与えられた時と考えること出来ます。例えば、新型コロナウイルス感染症に関するイベントが該当します。
  • 感応度(α、β)の大きさは、各ユーザーで異なると考えられます。しかし、例えば、同じグループに所属するユーザーでは、共通要因の感応度βが相対的にαより大きい可能性を考えることができます。つまり、同じグループに所属するユーザーは、共通イベントの影響をより大きく受けて、マインドアクティビティの挙動が類似することを指摘できます。
  • 同じグループに所属しているにも拘わらず、グループのトレンドから乖離する場合には、個別要因の影響を受けている可能性を指摘できます。

まとめ

本コラムでは、マインドアクティビティの平均値を使用して新型コロナウイルス感染症との関係性を分析したが、これは、偶然にも、新型コロナウイルス感染症というイベントが共通要因としてインパクトが大きかったために出来た分析とも言えます。また、両者の関係性が擬似的な相関関係であった可能性も否定できないところであり、今後、より長期間に亘って観察を続ける必要があります。

マインドアクティビティの変動要因は、個別要因と共通要因の2つに分類して考えることが出来そうです。その場合、例えば、個別ユーザーのマインドアクティビティの変動が、外的な共通要因に強く影響を受けているのか、それとも内的な個別要因に強く影響を受けているのかを考えることが出来ます。なお、考察を進めるに際しては、当社データとの比較分析が有効になると考えられます。

最後に、本稿の分析は発展途上であり、今後、掲載内容が変更される可能性があることに留意ください。また、当社の考察に誤り等がありましたら、ご連絡を頂ければ幸いです。【以上】

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