第12回 マインドヘルスと内部統制 (2/2)

マインドヘルスは、心の健康状態(モチベーション等を含む)を意味します。シリーズの第2回「マインドヘルスとリスク管理」で述べましたが、マインドヘルスの不調は、内部統制上の問題にも繋がります。

重大なインシデントには理由がある

第11回で解説した通り、重大なインシデントの発生は、軽微なインシデントの積み重ねに因るところが大きいです。こうした考え方の背景として、ハインリッヒの法則があります。なお、この法則は内部統制上のリスク管理体制を整備するのに、非常に有益となります。

ハインリッヒの法則

1件の重大なアクシデントの裏には、29件の軽微なアクシデントがあり、その裏には更に300件のヒヤリハットが存在するという考え方。

Note: H W Heinrich, 1931, Industrial accident prevention: a scientific approach

ヒヤリハットの絶対数を減らす

ハインリッヒの法則に従えば、重大なインシデントは、ヒヤリハットの発生件数に対して、大凡0.3%(*)の割合で発生することになります。例えば、ヒヤリハットの発生件数が3000件だった場合には、重大なインシデントは10件程度発生することが想定されます。

つまり、重大なインシデントの発生を抑制するためには、その母集団となるヒヤリハットの絶対数を減らすことが重要となります。マインドヘルスの改善は、集中力や注意力を向上させることで、こうしたヒヤリハットの発生件数の抑制に大きく貢献すると考えられます。

* 1/300 ≒ 0.3%

ゼロリスクの呪縛はストレスの原因となる

リスクはゼロが望ましいですが、ゼロリスクを達成することは、現実的には不可能な相談です。しかし、リスクを限りなくゼロに近づける努力はできます。

リスクとは何かを考えてみます。例えば、1ヵ月後に100万円の損失が確定している事象は、リスクとは言いません。逆に、40%の確率で1ヵ月後に100万円を獲得できる事象はリスクと言います。つまり、リスクとは、確率的に発生するイベントのことを意味します。

従って、ヒヤリハットの発生件数が確実に分かれば、ゼロリスクを達成したと言えます。しかし、直感的に考えてみても、タイムマシンで未来に飛ばない限りは、確実な発生件数を予測することは不可能であることが分かります。ただし、リスク管理体制を構築し、ヒヤリハットの発生件数を適切にコントロールことで、リスクは小さくすることが可能です。

完璧な安全や安心に拘りすぎて、ストレスから心身の不調を抱える可能性もあります。リスクとうまく共存することが、うまい内部統制ではないでしょうか。

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